この一枚からでも年代が分かる方は古着好きな筈です。
おそらくフレンチワークパンツかと思われます。
年代は表題でも記載した通り1920年代かと推測しております。
それでは、ディテールを基に年代を判別していきたいと思います。
フロント全体
上から下までテーパードがかかっていない太めのストレートです。
1950年代迄はこのストレートタイプが多いです。
フロント拡大
ベルトループなし。
1930年代からベルトループが出現する為、1920年代迄はベルトループはない。
サスペンダー用ボタン
こちらのボタンは黒いメタルボタン。
1950年代迄使用されていたボタンです。
生地は超肉厚なコットンツイル仕様です。
荒々しいコットンツイルが分かるかと思います。
サイドポケット
ポケット付け根を手縫いでカンヌキ的な縫製をしております。
また、糸は黒糸を使用しているところがカッコイイです。
後ろ姿
シンチバックが付いているだけでカッコ良く見えるのは私だけでしょうか。
拡大
黒ラッカーボタンの黒塗装が剥がれかけているところも雰囲気あります。
シンチバック
針付きシンチバックです。
安全面から針付きシンチバックは1940年代には無くなるディテールです。
サスペンダーボタン裏も黒ラッカー。
メタルボタンです。
裏フロント
裏フロント拡大
ポケットも同様の超肉厚生地を使用しています。
カンヌキも無くチェーンステッチでもありません。
裾
アタリがちゃんと出ています。
サイドはダブルステッチ仕様。
裏バック
後ろのみタックが入っております。
後ろのみタックが入っているのは珍しいのではないでしょうか。
裏シンチバック拡大
ボタンフライ
トップボタンはメタルボタンでそれ以外のボタンフライは別の素材を使用した黒ボタンです。
ボタンフライ拡大
ボタンフライの素材は尿素ボタンなのかラッカーボタンなのか不明です。
若干剥がれが生じていることからラッカーボタンかと推測します。
ボタンホール1
なんと手縫い仕様のボタンホールです。
ここだけみても相当古い事が容易に想像できます。
1920年代迄はボタンホール手縫い仕様だと思われます。
ボタンホール2
もちろんトップボタンホールも手縫い仕様でした。
1930年代からはボタンホールは手縫いでは無くなります。
シンチバック針付きの拡大です。
ボタンホール上部の生地は紺のリネンを使用していました。
このへんも古いもの独特のディテールです。
手縫いカンヌキ1
サイドポケット付け根に手縫いカンヌキ仕様。
手縫いカンヌキ2
後ろのV付け根も手縫いカンヌキ仕様です。
以上が今回のビンテージフレンチワークパンツのディテールと1920年代の根拠でした。
とは言え推測の部分もあることもご理解ください。
いずれにせよ素晴らしいワークパンツに間違いないです。