
BLACK NASTYというバンド名で、昔からレアグルーヴ好きの方にはご存知の方が多いアルバムかと思います。
今回、渋谷のHMVにて半額セールで見つけました。
Black Nasty は1960年代後半にデトロイトで結成されたファンク/ソウルバンドです。
バンドは後に
Nazty → ADC Band
と改名して活動を続けます。
バンド名の由来
「Black Nasty」の言葉の意味(文化的背景)
1970年代ブラックミュージックではnasty = ヤバい / 最高にファンキー / 凄い
という意味でよく使われました。
つまりネガティブではなく
「強烈で荒々しいファンク」
というニュアンス。
Black Nasty =
「黒人の荒々しくファンキーな音楽」
つまり
「黒くてドロドロにファンキーなサウンド」
を表した名前です。
良い意味で黒いアルバムだとバンド名だけでも分かります。

ジャケットの意味
このジャケットは、1970年代初頭のアメリカ黒人社会の政治的・社会的状況(Black Power / 公民権運動後の社会不満)を象徴的に描いたアートワークと考えられています。
ですので、明確にこのジャケットが何なのかは分かりませんが、推測としては、、、
黒人の現実
都市のストリート
抗議の空気
を描き音楽が社会を変える声になる
というメッセージではないかと思います。

それでは裏面を次はビンテージの視点で観てみます。
デトロイトのストリート系ワークファッションかと思われます。
いわゆる “Urban working-class style(都市労働者スタイル)” 。
① 左端の男性
着用アイテム
フェルト系 ワークハット
半袖ポロシャツ
ペインター系ワークパンツ
レザー・ワークブーツ
② 左から2人目
着用アイテム
デニムジャケット(ストア系でしょうか)
白タンクトップ
ワークパンツ
ワークブーツ
③ 中央の女性
着用アイテム
• 赤ニットキャップ
• ショートスリーブトップ
• デニムショートパンツ
• 黒ストッキング
• ローファー
特徴
このスタイルは1970年代ブラックファッションの典型です。
女性の役割はストリートの象徴として配置されています。
④ 中央右の男性(帽子)
着用アイテム
フェルトハット
ベスト
ワークシャツ
ワークパンツ
特徴
これはブルースミュージシャン風スタイルです。
1960〜70年代のブラックミュージシャンでよく見られます。
⑤ 右から2人目(アフロヘア)
着用アイテム
アフロヘア
ジャケット
シャツ
ワークパンツ
特徴
アフロはBlack Powerの象徴です。
1970年代ブラック文化では自然な黒人の髪を誇るという意味があります。
⑥ 右端(座っている男性)
着用アイテム
ニュースボーイキャップ
Tシャツ
ネクタイ
ワークパンツ
特徴
Tシャツ+ネクタイは1970年代ファンクの遊び心あるスタイルです。
かなり珍しい組み合わせです。
文化背景
ストリートとフォーマルのミックス。
このジャケットの重要ポイント
この写真は労働者(working class)をテーマにしています。
理由
確認できる小道具
ほうき
ゴミ箱
ペンキ汚れ
作業服
つまり
都市労働者です。
ジャケットのメッセージ
タイトル
Talking To The People
つまり
「労働者階級の人々に向けた音楽」という意味になります。

SIDE A
1. Talking To The People (Mack Rice) 2:43
アルバムのタイトル曲。
作曲:Mack Rice(Stax系ファンクの重要人物)
メンフィス・ファンクの典型的なグルーヴ
短いが強烈な政治性
内容
黒人コミュニティに向けたメッセージソング。
70年代のブラックパワー思想とコミュニティ意識を反映。
音楽特徴
タイトなリズムセクション
ワウギター
ゴスペル的コーラス
評価
アルバムのコンセプトを象徴する導入曲。
2. I Must Be In Love (Sue Conway) 3:42
アルバムの中で最も甘いソウル曲。
特徴
ストリングス風アレンジ
スムースな男女コーラス
ミッドテンポのメンフィス・ソウル
内容
恋に落ちた感情を歌う王道ラブソング。
音楽的にはStax系 + フィリーソウル的要素が感じられる。
3. Nasty Soul (A. Matthews / M. Patterson / J. Casper / T. Carter) 3:38
タイトル通りのディープファンク。
特徴
太いベースライン
重いドラム
ホーンセクション
歌詞「俺たちのソウルは本物だ」
というバンドのアイデンティティを表現。
DJ人気も高いタイプの曲。
4. Getting Funky Round Here (Johnnie Mae Matthews) 2:43
ライブ感の強いファンク。
特徴
コール&レスポンス
パーティー系グルーヴ
ダンスフロア向け
作曲のJohnnie Mae Matthewsはデトロイトの女性プロデューサーでモータウン周辺でも活動した人物。
短いがかなり強い曲。
5. Black Nasty Boogie (Mack Rice / Johnnie Mae Matthews / Terrance Ellis) 5:46
SIDE A最大のファンク曲。
特徴
長尺グルーヴ
ギターカッティング
ホーンリフ
内容
完全にクラブ向けのブギーファンク。
アルバムの中で最もDJ人気が高い曲。
Rare Groove文脈では
この曲が評価されることが多い。

SIDE B
1. We’re Doin’ Our Thing (Artwell Matthews Jr.) 3:25
典型的なブラック・コミュニティ系ファンク。
テーマ
「俺たちは自分たちの道を行く」
特徴
ホーンリフ
力強いボーカル
ストリート感
2. I Have No Choice (Blackwood / Black) 3:35
ミディアムテンポのメンフィスソウル。
特徴
哀愁のあるメロディ
女性コーラス
ストーリー性のある歌詞
恋愛で逃げ場がない状況を歌う曲。
3. It’s Not The World (Terrance Ellis / Johnnie Mae Matthews / Jackie Casper) 3:35
アルバムの中で比較的社会派の曲。
テーマ
人生の問題は
「世界の終わりではない」
というメッセージ。
サウンドはミッドファンクソウルバラードの中間
4. Rushin’ Sea (Don Hart) 3:36
かなり珍しいタイプの曲。
特徴
ジャズファンク寄り
オルガン主体
サイケ風味
このアルバムの中で最も音楽的に面白い曲。
5. Booger The Hooker (Johnnie Mae Matthews / Audrey Matthews) 3:46
かなりユニークな曲。
タイトルはスラングで
ストリートの人物を描いた物語
音楽は
ファンク
ブルース
ソウル
を混ぜた感じ。
アルバムを締めるストーリーソング。
このアルバムの特徴(重要)
音楽的特徴
Memphis Funk
Stax系ソウル
Early Rare Groove
プロデュース
Sir Mack Rice
Johnnie Mae Matthews
録音
Pampa Studio
Pac-3 Studio