1942年〜1945年の僅か4年間しか製造されなかったSEARS ROEBUCK社のプライベートブランド『STRONG RELIABLE』のデニムワークジャケットです。
まさかのワンウォッシュ程度のほぼ未使用品です。
それではご紹介していきたいと思います。
この写真だけをみるだけでも分かる方はいらっしゃるかと思います。
4つボタンで2ポケット仕様のまさに教科書通りの大戦モデルです。
1946年からは2ポケット仕様は無くなり4ポケット仕様になります。
真紺のデニムの為、当時のデニム生地の匂いがあります。
この匂いがいいんです。
濃紺以上じゃないと無い匂いです。
良い色落ちが期待されます。
ボタンは月桂樹ボタンではなく通常のボタン仕様です。
襟はシングルステッチですが通常のSTRONG RELIABLEと比べてこちらは襟の厚みがあります。
大戦モデルならではです。
台襟仕様になっております。
また、内側がブランケット仕様になっているデニムジャケットは通常は襟はコーデュロイ生地ですが大戦モデルはデニム生地のままです。
ちなみに大戦モデルのブランケット仕様以外のものは月桂樹ボタンが使われている傾向です。
ボタンは打ち込みボタン。
ボタンホールにホツレも一切ございません。
右ポケット
2ポケット仕様の1つ目。
大戦モデル以外はポケットに横ラインがダブルステッチで入りますがこちらは大戦モデルなのでダブルステッチは省かれています。
ポケット両サイドのカンヌキだけ赤糸を使っています。
また、マニアックですがポケットの底中央が少しだけくぼんだ造りになっています。
この仕様は今のところこちらしか確認出来ていません。
左ポケット
こちらもポケットの底中央が少しだけくぼんだ造りになっています。
カフスのボタンも1個に省略されています。
大戦モデルのディテールです。
ボタンホールも使用感ありません。
素晴らしい状態を保った大戦モデルです。
大戦モデル期はデカボタンも多いようですがこちらは通常ボタンサイズです。
実は今回、特に気に入ったディテールがあります。
それがこちら↓
裏にすると特に分かりますが、サイドの裾がシングルではなくダブルステッチ(ピッチ狭めの)仕様になっています。
通常、ここはチェーンステッチかシングルステッチです。
こちらをみるとよりダブルステッチが分かりやすくご覧いただけると思います。
実はボタン裏は黒ラッカー仕様ですが殆ど取れてしまっています。
ボタンホール裏
腰あたりに2枚のタグも付いていました。
サイズは42インチ。
ゴールデンサイズではないでしょうか。
実寸
着丈69cm
身幅57.5cm
肩幅45.5cm
袖丈60cm
何やら意味深な文字が書かれていたので訳してみました。
『This --- Was Mfg. to Conform To Regulation of War Production Board Order L-181』
和訳
『このデニムジャケットは戦争生産委員会命令 L-181 の規制に適合するように製造されました。』
まさに大戦モデルとこのタグからも分かる貴重な資料タグです。
歴史的な資料としての価値すらあります。
このタグがあとどれ程残っているのでしょうか。
そう考えると貴重さが分かるかと思います。
まさに戦時中だからこそ付くタグです。
2枚目のタグは裏地の詳細についてプリントされています。
上から
『Troy Blanket Mills』
19世紀に設立されたニューハンプシャー州で
最も古い繊維メーカー、トロイブランケットミルズ社。
中段
『WOOLMOUNT LINING』
裏地には『WOOLMOUNT』ブランドを使用。
下段
生地配合率
25%再利用ウール
75%コットン
ワンウォッシュだからこそに読み取れた情報です。
この2枚タグが付いたstrong reliableの大戦モデルを他に見たことがありません。
色褪せも一切ありません。
今から約80年前のデニムワークジャケットがこの様な状態であるのも前オーナーさんが大事に取り扱っていたからこそです。
ありがたいです。
中央上からストレートにダブルステッチです。
下裾先の縫製です。
やはり丁寧です。
湾曲では無く、直角な造りです。
大戦期以外(1930年代〜1950年代)は裾先が湾曲した造りです。↓
※レッドボールの下裾先です。
全てダブルステッチ。
大戦モデル期のディテール。
こちらもです。
通常はサイドに繋ぎ目がありますが今回のものは繋ぎ目がバックストレート中央にダブルステッチがあるのみでそれ以外繋ぎ目がありません。
ここも珍しいディテールです。
strong reliableの今回の大戦モデルディテール
・4つボタン(通常は5つ)
・2ポケット(通常は4つ)
・襟がデニム生地(通常はコーデュロイ生地)
・襟が台襟仕様。
・ポケットがノーステッチ(通常はダブルステッチが入ります)
・カフスボタン1つ(通常2つ)
・内タグ2枚(1枚は大戦モデル期のみに付くタグ)
・ダブルステッチ縫製(通常はトリプルステッチ縫製が多い傾向)
・裾先ダブルステッチ(通常はチェーンステッチかシングルステッチ)
・サイドの繋ぎ目なし。
ざっと挙げてもこれだけ通常とは違う大戦モデル。
面白いしシンプルでカッコイイし人気が出る訳がそこにあると改めて感じた逸品でした。
素晴らしい品をありがとうございました。
福岡の古着屋さんありがとうございます。