スペシャルビンテージ第三弾は1940年代のジップアップハンティングジャケットです。
ベルベルジンの藤原氏もハンティングジャケットでジップアップは珍しいと語られていました。
しかもほぼ未使用品です。
スペシャルです。
それではご紹介したいと思います。
実はハンティングジャケットをご紹介するのは初めてです。
もちろん存在は分かっていましたがハンティングジャケットは状態が良いもので古いものが殆ど無いのでご紹介出来ずにいました。
古いハンティングジャケットもシルエットは『A』です。
そこが気に入ったポイントです。
こちらは3ポケット仕様です。
補強の布が両肩に装備されています。
ハンティングジャケットによくある襟だけコーデュロイ生地では無くボディ同様のコットンポプリンを使用しています。
コットンポプリンとは
よこ畝のある緻密な平織り生地です。
たて糸とよこ糸の厚みが異なりたて糸の密度はよこ糸の2倍近くあります。
厚みの違う糸で平織りすることにより布面にはよこ方向に細い畝が現れます。
同時期にアメリカ海軍シャツにも同様の生地を使用したものが存在します。
これで『コットンポプリン』を知った方も多いのではないでしょうか。
肩補強の拡大。
襟は大きめです。
ジッパーは棒タロンです。
古い棒タロンは付け根にも『TALON』の刻印が入ります。
コの字留めは1950年代迄のディテールです。
襟を立てるとこんな感じ。
カッコイイです。
胸ポケットの仕様が特に拘りを感じますので詳しくご紹介します。
上蓋を捲るとジップが付いています。
こちらのジップにもかなり小さく『TALON』と刻印が入ります。
ジップポケット裏にも隠しポケットが搭載されていました。
しかもポケットの裏地はレーヨンを使用しています。
拘りを感じます。
また、ジップポケットの中はさらに違う生地を使用しています。
袖のボタンも完品です。
もちろんホツレもございません。
袖口もノーダメージ。
肩の補強の拡大。
ボディと腕の接続部は可動域を持たせるために、大変手間のかかる仕様になっていました。
ジッパーの根元は通称『デコタロン』。
細かく装飾されています。
デコタロンの『デコ』はアールデコの『デコ』です。
アールデコとは
一般にアール・ヌーヴォーの時代に続きヨーロッパおよびアメリカ合衆国を中心に1910年代半ばから1930年代にかけて流行、発展した装飾の一傾向。
よくみるとジッパーに金を塗っています。
所謂、金メッキ加工をしていたのだと推測します。
このような状態の良さじゃ無いと気付かない仕様だと思います。
ジッパー付け根の裏。
こちらにも同じく装飾が施されています。
この『デコタロン』なだけでテンションが上がります。
内側
タグは通称『黒タグ』です。
AMERICAN FIELD(アメリカンフィールド)
へトリック社(HETTRICK MFG Co.)のブランドで同社はハンティングジャケットだけではなくダック製品全般を扱っており野外テントやバッグや椅子なども製造していました。
1921年からハンティングジャケットを製造スタートしたようです。
裏のホックもピッカピカです。
後ろ姿もカッコいいです。
後ろから取った獲物を入れれるようにポケットが付いています。
当時の良い生地感が伝わるかと思います。
素晴らしいハンティングジャケットでした。